<仲介手数料>

(質問)

契約期間の途中で退去を申し入れしましたが、家主は「契約期間中の途中解約を認めない」という契約書を盾に、契約終了までの家賃を全額支払えと言ってきました。

拒否することはできるのでしょうか?

(回答)

契約期間を定めている契約(通常の契約)の場合、民法第618条の「当事者カ賃貸借ノ期間ヲ定メタルモ其一方又ハ各自カ其期間内ニ解約ヲ為ス権利ヲ留保シタルトキハ前条ノ規定ヲ準用ス」という規定が適用され、「契約期間中の途中解約の特約」がある場合にのみ、途中解約が認められています。

この点については、常識的な判断とは非常に異なっています。

つまり、契約書に、「途中解約条項」がなければ、途中解約そのものが認められないからです。

しかしながら、契約書に「途中解約条項」がないと、いかなる理由があっても、契約期間が終わるまで家賃を支払わなければならないということになりますので、2001年4月以降の契約については、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」に該当すると考えられますので、「途中解約条項」がない場合でも、必ずしも、契約期間終了までの家賃支払いを行う必要はないでしょう。

判例も、社会通念上、常識的な範囲を越える金額の支払いについては免除する傾向にあるようです。

なお、契約期間を定めない契約(法定更新した契約も含みます)の場合には、民法第617条の規定により、通知後3ヵ月後に解約することができます。

<原状回復期間>(2)

(質問)

契約がもうすぐ終了するのですが、家主から、「原状回復をしてから明け渡してもらう必要があるので、契約終了日の1週間前には退去してくれ」と言ってきました。

確かに、契約書には、そのような記載があるのだが、契約期間中なのに、家主の言うように退去しなければならないのでしょうか。

(回答)

「原状回復義務」というものが、いつ発生するのかを考えれば、家主の主張が間違っていることは明らかです。

時系列から言えば、

「契約期間終了」→「物件明け渡し義務発生」=「原状回復義務発生」

となるのです。

つまり、原状回復義務は、契約期間が終了しなければ、そもそも発生しない義務なのです。

また、借主は、契約期間中、使用収益する権利を持っています。

(家主から見れば、使用収益させる義務)が、契約期間中に原状回復期間を含めるとすれば、契約期間中にもかかわらず、使用収益することができなくなりますので、使用収益することができない期間については、家賃を支払う義務が免除されます。

いずれの見方からしても、契約期間に、原状回復期間を含めるのは不当だということです。

従って、「契約期間に原状回復期間を含める」こと自体が不当ですので、このような契約内容自体、不当な契約内容であり、公序良俗に反する規定(使用できないのに家賃を支払うことになるため)であり、無効といえるでしょう。

2001年4月以降に契約した場合には、消費者契約法によって、「消費者の利益を一方的に害する条項」としても無効となります。

そこで、契約期間中は退去する義務がありませんし、家主の主張に従って退去したとしても、その期間中の家賃は支払う必要はありません。

 

日本住宅性能検査協会
サブリース問題研究会