株式会社レオパレス21は東証1部上場会社です。アパート建築請負と賃貸を主軸にリゾート、ブロードバンド事業を展開しています。全国に280,000戸と日本の賃貸住宅の大手として、この分野ではリーダー的な存在です。しかしながら、以前より営業方法、管理方法等の問題が指摘されていました。

[情報弱者]を基盤にしたような経営方法は避けなければなりません。企業の社会的責任(CSR)も不可欠な経営要素です。今後の賃貸住宅分野の健全なる発展の為、あえて東証1部上場企業であるレオパレス21の問題点を指摘します。

勧誘方法の問題(初期費用が一般的な賃貸住宅に比べて安いイメージ作り)

・ TVコマーシャル、パンフレットでは:敷金・礼金0円と派手に宣伝いかにも費用がかからないと若者を対象に勧誘しています。

・ 「一般的な賃貸住宅と比べると初期費用だけで10万円以上もお得です!」(2003年版)と費用の比較説明にうたっていますが、検証の結果事実と違い誇大広告と言われても仕方がありません。これは景品表示法の問題に抵触しています。

・ パンフレットにある「一般的な賃貸住宅とのシステム比較」の中に、入居者の一番の関心事である退去時の原状回復費用の負担に関する説明が一切ありません。

 

ワンルームタイプ ( 家賃6万円の場合 ) の初期投資比較(2003年パンフレットに掲載

         一般賃貸住宅       レオパレス21会員システム

敷金(2ケ月)・礼金(2ケ月)240,000円  入会金    150,000円(税別 )

仲介手数料(1ケ月)    60,000円  年会費     26,000円( 税込み)

前家賃(1ケ月)       60,000円  前家賃(1ケ月)60,000円

火災保険料         20,000円 LOMANサービス25,000円

合計          380,000円        261,000円

このように一般賃貸住宅には敷金として原状回復費用をみていますが、レオパレス21には原状回復費用の記載がありません。(実際には5万円から20万の原状回復費用が発生している) 比較する基準がそもそも違っているので参考になりません。

店頭では入居希望者にこのような比較説明が行われています。

これらは消費者契約法第3条1項の契約に「勧誘をするに際しては、消費者の理解を深める為に、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。」この条項に抵触します。

初期費用の比較

・ 常磐線エリアで66戸(アパマン物件情報誌)の平均値を出した結果

一般的な1ルーム    250,688円

レオパレス21     261,000円

逆にレオパレス21の初期費用が10,312円も余分にかさみます。

これは消費者契約法第3条、4条に抵触します。

入会金の問題 (首都圏 150,000円、北海道・沖縄50,000円) 

・ 賃貸借契約にない概念であり、かなり消費者に負担をかける制度です。

しかもこの入会金は返済しないとしています。

これは消費者契約法第10条の「消費者の利益を一方的に害する条項」に抵触するのではないでしょうか。

入会しての主なる特典はリルーム(全国どこへ引っ越しても8,400円で入居できる制度2003年、2004年度は10,500円)。

その他に :ブロードバンドサービスが月額3,150円

     :IP電話サービス    月額950円

     :レオパレスメンバーズカード

     :ポイントサービス(商品と交換ができる)

     :CSチャンエル     月額3,000円

これらが果たしてとく特典とよべるでしょうか?

「会員制システム」は、返済の義務のない資金の捻出を考えた末の制度に思えます。 *原状回復費用は退去時に現金で徴収してます。

・ このアパートは会員制契約における部屋利用契約であり利用期間を定めた契約

 (いわゆる定期借家契約)ではないと言っています。解約はお客様からの任意の解約の申し出(退去通知書の提出)が必要としています。

期間の定めがないと言うことは、更新の問題がないことになりますが、逆にいつでも解約の申し入れができることになります。

しかしながら、部屋の引渡しを受けている限り(鍵を受け取ったり、家財道具を搬入しているなどの事実がれば引渡しが認められます。) 借地借家法が適用されます。その場合は賃貸借契約となり借地借家法で入居者は守られます。

この入会金の性格はどのように考えればいいのでしょうか、二重家賃、追加家賃の「特約」とも同じと考えられます。

特約として認められるには、「合理的理由が存在し、賃借人がその内容を十分に認識して意思表示をしたなどの特段の事情がある場合に例外的に有効になる場合がある。」

「特段の事情とは」

合理的理由・・・・・相場に比べてやしが極端に安いとか

十分に認識・・・・・家賃の追加払いになるとの認識がる

意思表示をした・・・この合理性、必然性を認識し義務負担の意思表示をした。伏見簡裁平成7年(ハ)第315号

このように判例では厳しく定義を定めています。

ホテルの場合は使用契約・宿泊契約で、長期滞在の場合住民票をホテルに移動した時点で賃貸借契約つまり借地借家法の適用となり権利義務が発生するため、その滞在者には権利放棄をお願いし、別契約を締結しています。

ホテル・会員リゾードには原状回復との概念はありません。(帝国ホテル:和田氏)

・ L社は会員リゾート的な概念を持ち込み、会員制として入会金と、この施設を利用するといった名目で利用料を月々徴収しています。一方では

退去時に原状回復費用として平均5万円から20万円を別途現場に於いて現金で徴収しています。

ご都合主義のシステムを組み立て[情報弱者]の入居者を犠牲にして、あらゆる手段を持って徴収しているように見えます。

消費者にとってなんのメッリトもない会員システムを有るがごとく幻想を与えるのは消費者契約法第4条(重要事項の不実告知)に抵触します。

年会費 (首都圏 26,000円、北海道・沖縄20,000円 2003年度)

・ 賃貸借契約にない概念であり、消費者の利益を一方的に害する条項です。

入会金と同じで家賃の二重払い(追加払い)であり、通常これは[特約]とよばれるものです。

入居者から徴収する一つの便法として考えられた「年会費」で、消費者にとり大変な不利益を被ります。

レオパレスの会則13条では年会費の納入がないと部屋の利用ができないとしています。

基本清掃代・抗菌サービス代強制徴収

・ 国土交通省「ガイドライン」を基準にすると、付加価値部分としてオーナー負担となります。判例からも「通常の使用」をしている分には支払う必要のないものです。

・ 最近の判例では平成16年3月16日京都地裁で自然損耗等の入居者負担の[特約]は消費者契約法にてらして無効と判断されました。

原状回復費用

・ 社会的な問題になっている問題にもかかわらず、パンフレット等に記載が

ありません。初期費用比較の項目にも入れていません。説明の努力義務がそこには有りません。 入居者は退去時に清算しなければならないとの認識が生まれません。

やはり消費者契約法第3条、に抵触します。

退去時の清算

・ 退去立会い時にその場で清算する方法を採っています。その場に①銀行印②現金③記帳した通帳④デビッドカード⑤キャシュカードの持参を求め、現地で清算出来なければ解約できないとしています。

原状回復費用はその場で決定し、徴収する方法は、国土交通省の「ガイドライン」に沿った費用の割合負担や、毀損・汚損・破損が構造的なものから発生したものなのか、故意・過失なのかの判断や、経年劣化による減価償却等を教慮しなければ金額が決定できません。通常入居者にはその場でこの様な判断はできません。

通常でしたら、原状回復が必要な場合、業者から見積もりを提出させます。それに按分率及び金額を書いたものを入居者に提示して了解を得ます。

 

このような工程を経ずに行われていることは、「情報弱者」の入居者を利用しているシステムであると言われても仕方が有りません。この様な一方的なやり方では、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する条項の消費者契約法第10条に違反し、又「公序良俗違反」に問われます。

最終支払い金額の比較( 敷金が50%返還されるものとして)

・ 一般的なアパート    210,840円

・  レオパレス21     364,500円

* レオパレス21が割高です。

つまりこの会員制システムは消費者にとり、落とし穴の連続です。賃貸住宅は日本の住宅政策の根幹です。健全な形で発展しなければなりません。それが我々国民の願いです。このような[情報弱者]を犠牲にした上でなりたつ運営システムは、日本のトップ企業が行うべきではありません。「企業の社会的責任」の自覚が求められます。

内容分析

パンフレットある「 レオパレス21会員制システムは一般的な賃貸住宅と比べて初期投資が10万円以上も安い 」のでしょうか? 2003年度版

 

新築を含め66戸の1Kアパート〔木造・軽量鉄骨〕の調査で判明したことは。

     〔アパマン物件情報誌。常磐エリア、詳細資料添付〕

       平均   敷金      1.53ケ月  79,696円

            礼金      0.89ケ月  48,848

            仲介手数料   0.96ケ月  48,871 

            前家賃             50、583   

            共益費              2,690

            火災保険            20,000  

            合   計          250,688円

     〔レオパレス21〕

            入会金            150,000円

            年会費             26,000

            前家賃             60,000

  LOMAN(火災保険等)      25,000  

合   計          261,000円

比較してもレオパレス21より一般的な賃貸住宅 の方が割安です。

基本的には敷金は返還されるものです。レオパレス21の入居者に対する原状回復費用の対応等を考慮した場合、最終的に負担させられる金額は

      レオパレス以外             レオパレス21

      250,688円            261,000

      -39,848 〔敷金の5掛け返還とする〕 15,000 抗菌サービス

      210,840円            28,500 基本清掃料

                          60,000 予想原状回復費用

                         364,500円

364,500円-210,840=153,660円                                      

レオパレスを利用すると最終的には 153,550円の割高になる可能性があります。

システム内容

■ 対象は学生

■ 間取り 1R

■ 物件戸数 260,000戸

1. 会員制月払い   

▽ A会員 入会金150,000円 〔返還しない〕

▽     年会費 26,000円 〔返還しない〕

▽ 利用料金〔家賃〕60,000~

▽ LOMANサービス25,000円〔火災保険等、2年更新で返還しない〕

▽ 抗菌サービス  15,000円〔返金しない〕

▽ 退室時清掃料金 25,000円〔ワンルーム基本料金〕

28,500円(家具つき)

33,500円(1DK)

38,500円(2DK・1LDK)

43,500円(3DK・2LDK)

48,500円(3LDK以上)

▽ 原状回復の修繕費

「通常の使用」を超える使用の損耗は別途料金表で請求

▽ 解約方法

会員シツテムとして、自動更新で更新料はない。利用期間を定めた契約ではないとし、解約は任意の申し出で、退室通知書で連絡する。

▽ 契約、解約及び清算

   契約時の支払い

      入会金     150,000円

      年会費      26,000円

      利用料金     60,000円

      LOMANサービス 25,000円

    ( 抗菌サービス   15,000円 ) 

              276,000円

   退出〔解約〕 

      退出時費用

a. 基本清掃代金

部屋別タイプ料金

b.その他の修繕費(原状回復費)

清 算                         

ルームチェック〔退出時〕にすべて清算する。その場に持参すべきものとして

a.銀行印

b記帳した通帳

cデビッドカード

キャシュカード〔残高確認をすること〕 

d現金

e公共料金最終清算領収書〔電気・ガス・水道〕を要求している。現地清算ができない場合は解約手続きができないと明記

2. フラット一括払い  

▽ 入会金   不要

▽ 年会費    “

▽ 利用料〔家賃〕一活払い〔2週間~〕

▽ 退出時の清掃費用を前払い〔1,100円/月 x 期間〕

▽ 水道光熱費は不要

▽ 原状回復の費用

「通常の使用」を超える損耗は別途料金表で請求

▽ 清算

会員制と同じ

まとめ

レオパレス問題は消費者契約法が深く関与してきます。

新たに「消費者契約法」が平成2001年4月1日以降、消費者と事業者の間に締結される契約に適用されることになりました。

消費者と事業者との間では、知識と経験の差が大きく、契約当事者と言っても対等とは言えません。従って契約に当たって、ある程度事業者に不利に消費者に有利に解釈して初めてバランスがとれるというのが法の発想です。

この発想から法の目的は消費者と事業者の間の全ての契約を対象にして契約の取消権や不当な条項の無効を主張する権利を消費者に認め、消費者契約から生じるトラブルや被害を抑制することにあります。

消費者契約法では以下の項目に違反した場合は無効と判断しています。

1. 事業者の情報提供・説明の努力義務

2. 消費者の取消権

a. 重要事項について、事実と異なることを告げること。

消費者契約に係る、物品、権利、役務、その他の契約の目的となるもの質、用途、その他の内容及び対価その他の取引条件について、契約を締結するか否かの判断に、通常影響を及ぼすものをいう  

b。変動が不確実な事項についての断片的判断の提供

c。不利益事実の不告知

d。困惑させられた場合

事業者の行為によって困惑させらて、それによって消費者契約の申し入れまたは承諾の意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができる(第4条第3項)

「困惑」とは、消費者がどうしたらよいかわからなくなり、精神的に自由な判断ができない状態をいいます。消費者が困惑して、自由な意思決定が出来ない状態で消費者契約を締結した場合、民法の脅迫が成立しない場合でも取り消しを認めることにしたのです。

3. 消費者に不利益な条項の無効

a. 事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効

b. 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項の無効

c. 消費者の利益を一方的に害する条項の無効

消費者契約法(2001年4月1日施行)は消費者にとってやはり大きな武器です。これまでも常識とされてきた慣行が動き始めています。

直近の裁判で 京都地裁平成16年3月16日 消費者契約法第10条「消費者の利益を一方的に害する条項」で原状回復費用を賃借人に負担させることは、契約締結にあたっての情報力及び交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害する」と判断し、特約は無効としました。

(* 消費者契約法第10条にある「消費者の利益を一方的に害する条項」は具体的な内容については定められていません。個別な事例ごとに、「消費者の利益を一方的に害する」といえるかどうかについて、判断していくことになります 。)

それと次の点からも規制されます。

内容があまりにも非常識であるし不公平であるこの場合は「公序良俗違反 」で規制しなくてはいけません。このように一方的に不利となる契約内容は、「例文解釈 」として司法的内容規制が機能するこのも可能です。

これらは一種の「特約 」と解すべきで賃貸借契約で通常使用される文言に戻すべきです。又賃貸借契約では使用しない入会金、年会費、現場で徴収する清掃費, 原状回復費は「情報弱者」を利用したシステムであり、「企業社会的責任」(CSR)等を考えた場合、上場企業が行う経営手法として間違っていると考えます。本来払うべき費用ではなかったのかも知りません。返還請求の時効は10年です。今までの入居者に返還されるべきだと考えます。

L社は利用期間を定めた契約、いわゆる定期借家契約を結んでいないとし(L社入居者ガイドブックP17)、単なる利用契約を結んでいるだけで、解約もお客様から任意の解約の申し出で

成立するとしています。

通常、賃貸借契約で使わない入会金(返済しない)、年会費(返済しない)を、L社では手数料と言った表現を使っています(店頭では説明が一定してない)。又 年会費や利用料(家賃に相当分と説明)を滞納すると利用規則に則り部屋の利用が出来ないと言っています。一般的にある敷金はありません。しかしながらこれが大変な問題を含んでいます。通常でしたら入居者は敷金を預け退去時に[通常の使用]以上で生じた毀損・破損・汚損部分を負担しますが、L社ではこの制度がありません。それではその原状回復費用はどこから、何時徴収するのでしょうか、それは他社ではあまりやらない方法ですが、退去立会い時にその場で清算する方法を採っています。その場に①銀行印②現金③記帳した通帳④デビッドカード⑤キャシュカードの持参を求め、現地で清算出来なければ解約できないとしています。

原状回復費用等の見積もりをその場で行い引き落とす方法です。入居対象者が独身、特に大学生が多く、社会的な経験も浅く、親からの仕送りで生活している学生です。しかも相手は経験豊かな退去専門の担当者です。勝負は最初から決まっています。親も5万から15万の原状回復費用(入居者負担でない費用もかなりある)ならば認めます。その場で決済ですから、あとから疑問が生じ返還を求めても一端入金されたものは簡単には応じません。

ましてや費用の面から弁護士を代理人にたてて行う紛争事件ではありません。

「情報弱者」を利用したシステムだと言わざるを得ません。

又、会員制度といっても、入居者の義務、原状回復の考え方は、賃貸借契約を結んで入居した賃借人と同じです。 権利はあらゆる文言の方式で行使し、入居者にはかなりきつい義務を課せています。

〔平成20年9月25日〕掲載

契約は民法の原則である「契約自由の原則」で自由に決めることが出来ます。

然しながら、Lの入居者の保護や権利はどの法律から守られるのでしょうか。

契約とは法律的な権利義務を発生させる法律行為の一つで、法律的な効果を発生させる行為の一類型です。 二人以上の当事者が「お互いにこういう内容で権利義務を発生させます」と合意するときに契約が成立します。

賃貸住居に関する契約が適用される法律は二つしかありません。

各当事者が相互に対価的意義を有する債務(使用収益させる債務と賃料支払い債務)を負担する契約で有償・双務契約といわれます。 部屋を貸すが家賃を支払え、つまり賃貸借となり賃貸借契約を結びます。 居住用であれ、営業用であれ建物の賃貸借であれば、その用途を問わず借地借家法の適用になります。

もう一つは、対価を払わないで物を使用することが出来る使用貸借 は、無償・片務契約といわれます。つまり、賃貸借と使用貸借の本質的差異は、対価すなわち賃料を支払う約定があるかないかという点にあります。

このような性質から建物の使用貸借には、借地借家法の適用がなく、民法の規定に基づくことになります。

・ 賃料を支払って住む・・・・・借地借家法の適用

・ 賃料を支払わなくて住む・・・民法の適用

当然ながら、レオパレスの会員システムもこの法律が適用されます。

賃貸借契約の内容を規制するものとして、さきほど述べた「借地借家法」があります。

時代的な背景をベースにその時代の変化を汲み取りながら組み立てられた法律です。

これを借地・借家に関する法律の沿岸から見ていきます。

他人が所有する土地に建物を建てるためにその土地を借りる場合(借地)や他人が所有する建物を借りる場合(借家)、 一般に貸す者(賃貸人)と借りる者(賃借人)との間で「賃貸借」という契約が締結されます。

この賃貸借契約を一般的に規制する法律が明治31年に施行された民法です。

民法の起草者は、賃貸借を「契約」として、賃貸借契約によって生ずる賃借権を「債権」として構成しました。しかし これによって二つの問題が立法直後から表面化しました。

一つは「契約自由の原則」との関係です。民法の原則である契約自由の原則によれば、当事者は賃貸借契約の内容(条件)を自由に決めることができる筈です。しかし、この原則を不動産賃貸借にそのまま適用すると、経済的に優位な立場にある賃貸人が自己に有利な条件で契約を締結すること賃借人に強要し、経済的に不利な立場にある賃借人がそれを飲まざるを得ないような状態でなされた契約でも有効なものとなってしまします。

例えば、「賃貸人が明渡しを請求したときは、賃借人は即時に建物を明渡さなければならない」という条項さえも有効なので、賃借人は賃貸人からの明渡し請求に怯えながら借家で暮らさなければなりません。

このように不動産賃貸借における契約の自由はないと言っても過言ではありません。そこで賃貸人と賃借人との経済的関係の差を埋める為に、国家が賃貸借契約の内容に強制的に介入する必要ができてきています。

そこで民法上こうした劣悪な地位にある不動産賃借人を保護する目的でいくつかの特別法が制定されました。

まず明治42年に「建物保護法」が制定され、ついで大正10年に[借地法]「借家法」が制定され、その後、昭和16年に改正をはじめとして、度々改正されましたが、平成3年に形式も内容も抜本的に改正され「借地借家法」が制定されました。

「特別法は一般法に優先する」との原則により、不動産賃貸借については、まず特別法である借地借家が優先的に適用され、借地借家法に規定されていない事項についてのみ民法が適用されます。

賃貸借契約の内容を規制するものとして「借地借家法」の成立までの沿岸を見ましたが、同じく賃貸借契約の内容を規制するものとして、次のものがあります。

1.「公序良俗違反

賃貸借契約にとどまらず、契約一般についていえることですが、契約の条項は契約自由の原則により基本的には当事者の任意に決めることができます。しかしながら内容があまりにも非常識で合ったり不公平であったりする場合は、借地借家法に定めが無くても無効になる場合があります。公の秩序、善良なる風俗を略して「公序良俗」といいますが、

[公序良俗違反]で無効になる場合です。

2.「例文解釈」

 不動産の賃貸借契約や示談書などに含まれている定形型文言や約款の解釈で文言通りに適用すると不当な結果となる場合に、その不当性を回避するために、その文言を「単なる例文である」として、その有効性を否定する契約解釈の手法です。信義則によって基礎付けされ、形の上では合意の存在の否定ですが、実質的には裁判官による契約内容の改定を意味しています。一方的に相手方に不利となる契約内容に対する隠れた司法的内容規制としての機能を発揮するものです。

L社の営業方法は、1ルームのアパートを全国に280,000戸、学生を中止とした若者を対象に展開しています。まだ社会経験のない人間が派手なテレビコマーシャルやパンフレットをみると一見入居費用が安く感じるように製作されています。

受付カウンターでは、敷金は無し、礼金は無いとして、初期費用が他社より少なく、お得であると勧誘しています。カウンターでは「入会金」「年会費」を手数料とか、敷金とか、礼金のようなものと言った説明の仕方をしています。 

敷金であるならば、預り金として賃借人に返還が予定されますが、「入会金」「年会費」は返還せずとしている為、結果的には入居者に不利益になるシステムです。

契約時には退去時に必要な費用としてかかるものとしてハウスクリーニング費用の説明は行われていますが、実際は自然劣化、損耗分を混在させ原状回復費用として、退去の場で、現金、キャッシュカードもしくは記帳した通帳と印鑑を用意させその場で徴収しています。

せかされて経験のない人間が、経験豊かな営業マンに相対することは出来ません。

ある入居者( A さん、茨城県)の話で、

家賃3万円の1ルームの部屋を1年間借りて、タバコも吸わず丁寧に使用していたそうです。

都合により引越しをしなければならなくなり、規定により退去立会いが行われました。

その場でL社の担当者が原状回復費用として9万円を請求してきたそうです。

たまたま内装業のアルバイトをした経験があったので、請求額に疑問をもち拒絶したところ、担当者は激高したそうです。最終的には持ち金が5万円しかないので、納得はしなかったがこれ以上払えないと言ってその場で支払ったそうです。 結果的には高くついたような気がしたそうです。又社会経験の無い学生がL社の専門家に原状回復費用を言われ場合、疑問に思っていても言われたその請求額を支払うのではないかと述べています。

再調査の結果(2004.11)

ますます手口が巧妙化しています。さすがに露骨な初期投資比較を引っ込めていますが、2004年度版はモデルケースとしての初期費用に、前家賃45,000円を乗せています。

しかし、これは首都圏(戸数112,324:16年9月現在)ではありえない家賃です。

(レオパレス21探検マガジン ○得部屋選びより)

ありえない家賃をのせて入居者を勧誘しています。

2004年度版では、入会金の金額表示はとりやめ、利用料の1.0ケ月~2.0ケ月としています。2003年度と比べ、入居者には判り難くなっています。

また、新たに鍵の交換費用として3,150と抗菌サービスとして15,750円を初期費用(費用のモデルケースには載せていないが、口頭で初期費用と説明)としています。本来鍵の交換は、民法601条に賃貸人には「入居者が平穏に生活できるような住宅を提供する義務がある」として入居者の退去に伴う鍵の交換は賃貸者のアパート経営上の必須条件です。賃貸者の義務にもかかわらず、入居者に負担させています。またこの抗菌サービスも入居者に不安感を抱かせるような、半ば強制的なやりかたです。この作業も意味のないもので、新たな手口としか思えないものです。やはり消費者契約法に抵触します。

東京都の条例を意識してかどうか判りませんが、柏店の店頭(賃貸事業部A氏)では、「私どもの物件はすべて自社所有ですので、宅地建物取引業ではないのです?」などと説明をしていました。

社内でどのような話がされているのか、企業モラルの問題も問われなければなりません。

注:アパート建築についても問題が山積しています。  

比較項目一覧

株式会社レオパレス21

会社概要 設立  昭和48年8月17日

     資本金 375億

     東証一部上場

     宅地建物取引免許 建設大臣免許(7)第2846号

     建設工事業許可  建設大臣許可(特-10)第11502号

     貸金業登録    関東財務局長登録(6)第00581号

レオパレス21(8848)
固定資産の含み損処理進み収益力向上

 地主などのオーナーに土地の有効活用としてアパート経営(主としてワンルーム)を提案し、建築および賃貸管理を請け負う。主力顧客の35歳未満 の単身貸家世帯は、今後逓減傾向をたどる見通しだが、同社のシェアは5%強程度に過ぎないことに加え、短期利用目的といった多様なニーズを取り込むなど新たな層も開拓しており、成長余地は大きい。
 今期の業績は前期比9%営業増益となる見込み。建築請負事業の営業を抑制し、賃貸事業を強化する戦略をとるため、増益率は鈍化する。しかし、来期は同12%営業増益と2けたの伸びへ回帰すると予想。株価は今期連結予想PER(株価収益率)で約8倍(特損除いたベース)と水準自体が低く、賃貸住宅関連の類似企業と比べても割安感は強い。
 また、今期は固定資産の含み損処理が行われ、有利子負債残高も1000億円を切る水準にまで減少する見込みで、課題のバランスシート不安が払(ふつ)拭(しよく)されることから、収益力がより株価に反映されるべきだろう。(みずほインベスターズ証券調査部・岸恭彦)

2005年6月3日

日本住宅性能検査協会

大谷昭二